そっと続ける箱庭で |
たったひとつきりのいのちが紐解けない 暗がりの中で呼吸の仕方を忘れる もう一度と願って息を切らす そっと続ける箱庭で 微細に行く道を見失う さあ、どっちに転ぼうか きみからの救難信号は届かなくても つながる岸辺に立っているなら そっと続ける箱庭で また息を切らすよ 今が今じゃなくなって 新しい今が訪れる頃には また磨り減っている命で ささやかにさんざめくよ いつまでもとは言えないけれど 続けられるだけのいのちで そっと続ける箱庭で きみのことを呼ぶ 明日の天気なんてわからないよ きみの名前は覚えさせてよ 忘れた頃に来てくれればいい そっと続ける箱庭で またひとつ息を切らすよ もう一度と願うよ きみからの救難信号が届かなくても つながる岸辺はここにあるから 磨り減るばかりのいのちを すっかり紐解けなくたって 言葉にすることを選ぶよ そっと続ける箱庭で ひそやかに息を切らす いくら微細に迷子でも 明日の天気はわからなくても きみの名前は覚えさせてよ |