Catch my phrase if you can!



鬼さんこちら
捕まえてごらん
ひらりはらり舞い踊る魅惑のフレーズ
捕まえてごらんよ

サンバでありタンゴでありワルツ
ひらりはらりゆらりきらり
蜃気楼の色艶(いろつや)
桜雲(おううん)躊躇(ためら)いで
蝸角(かかく)は今日も跳ね返る
淵瀬(ふちせ)は切なく弦を弾く
須臾(しゅゆ)無窮(むきゅう)落莫(らくばく)に脅えて
浅緋(あさあけ)繊翳(せんえい)眩耀(げんよう)されたら
みだりくたりにたりしたり
まるで赤烏(せきう)
まるで泡影(ほうえい)
ああ夢
荒唐無稽な幻
どこにも存在しないフェイクのフレーズ
ゆるりくるりするりるるりららるる
恒河沙(ごうがしゃ)の流星と阿僧祇(あそうぎ)塵埃(じんあい)
那由多(なゆた)黄昏(たそがれ)不可思議(ふかしぎ)暁光(ぎょうこう)
するり
伸ばされる手をかわして路地裏を駆け抜けて
昼寝していた猫が飛び起きる
鬼さんこちら
捕まえてごらん
ひらりはらり舞い踊るの秘め事のフレーズ
捕まえてごらんよ

温くなったかき氷
棘のあるまんまる
128ビートのバラード
暗愚の太陽と明朗な宵闇
あの子とぼく
思い出してみるんだ
その後すぐに嘘になっちゃったけど
あの時繋いでいた手がどれだけ真実であったかを
なんの慰めにもならない夕暮れのいなびかり
むしろ
それまで積もり積もった日々だけが真実
ずっと好きだったよ
低俗で荒淫(こういん)な無軌道かみさま
粋で高潔で凛としたこあくま
星は巡る背を向けてても
後背(こうはい)の光速を見逃してたら
ひらりとフレーズが逃げちゃうよ
あろりひろりみろりとろりりろりろりるる
跳ね回り転げ落ちる初恋のようなフレーズ
どこまで行くのファラウェイ
ローリングでコーリングしてるヒーリングしてよって
捕まえてみせて
僕の心を射止めて
鬼さんこちら
捕まえてごらん
くるりるるりりるらるる舞い踊るの恋慕のフレーズ
捕まえてごらんよ
僕を重力でとらえて
きみへ落ちる流星に変えて

ゆらゆるり
どれだけのフェイクを連ねれば真実に近づけるかな
どれだけの児戯(じぎ)を繰り返せばあの日が映るかな
らるはらり
たくさんのイミテーションを並べて希望を廉売!
たくさんのロンリネスをきみで薄めてたたき売り!
するするり
木に登って屋根づたいに逃げのびる
うっかり崩れ落ちる瓦という罪悪
ゆるらるら
思い描いてみるんだ
きみに墜ちた時のこと
その時の痛みと喜びを
外殻なんて大気圏で燃え尽きて
こころひとつでするくるり
Catch my phrase if you can!

鬼さんこちら
捕まえてごらん
3度目の初恋
ラジオが流すバラードは激しい拍動
ゆるくるくるり
静かな日々の騒乱を生き抜いて今ここに言葉を紡ぐ
まるでどうしようもなく不器用できみを(そで)にするための恋文
結局どうしようもなく本当の気持ちのイミテーションだけ
捕まえてごらん
ひらりはらり舞い踊るフレーズとしてのフレーズ
捕まえてごらんよ
触れる肌の重力に捕まって
きみへ墜ちる流星になれれば
外殻なんて大気圏でぶっ壊して
こころひとつで



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