ドルフィン



闇と言えば簡単だけど
ちょっと違う
黄昏って言えば近いけど
そんなにかっこよくない
別にたいしたもんじゃない
毎日のように死にたいって思いながら生きているだけ
幸せを欲しがっては諦め
また欲しがって
末期(まつご)の水だなんて
毎回のように思って飲んで
馬鹿らしくて
そんなのただの水
大切な水分
何も欲しがってないふりをしながら
それでも何かを掴んだ
きみの手だった
末期の水だとか
そんなの嘘で
偽物で
ただの水
大切な水分
溜まればちょっとした海で
きみが泳げる
どうあっても幸せでしかない弱虫の僕が見つけた
ドルフィンのまばたき

エコーがはねる
何の音波かわからないのに
たまらなく落ち着く
けど
寄りかかるのはちょっと怖い
寄りかかれなくてもいい
まばたきの向こうに
安らかな眠りがあって
目覚めることを願えるのなら

ドルフィンのまばたきの中で
溺れる
どうしても欲しいと思うのは
きみがずるいからだ
どうあっても罪人だからだ
少なくとも僕にとっては

すべからく咎人(とがにん)
すべくくる命の音色で
すみやかに(いばら)
ドルフィンのまばたき
きらびやかに暖めて
きりつめた残り香で
kiss

ドルフィンのまばたき
どれだけずるいのかって
教えたくて
僕も少しばかり卑怯になる



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