間違いなく君だったよ



僕は君と命になりたいと考えている
揺れ動く光の残像の向こうで
君との日々を懐古する
いなくなってしまったものは戻らないけれど
僕は君と命になりたいと考えている
それは僕の生と君の死を重ねる行為であり
さようならのリズムであり
猫のまばたきである

回廊は止まらずに蠢いている
いつか叫んだ言葉が
誰でもない声で反響する
ごろうんごろうと
求めている
溶け合いたくて


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 足りないよ
 愛をくれよ
 ずっと叫んでんだけど
 誰にも聞こえてないのかな

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僕は僕を見失い
君のつもりで弦をはじく
まったく下手なコンチェルト
共に弾く相手がいないからソロ
欠けてしまった音階は
君であったか
空であったか
猫であったか
なくしてしまった諧調は
鳥であったか
疵であったか
 であったか
死んでしまった休符は
間違いなく君だったよ
間違いなく君だったよ

間違いなく君だったよ


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 ただ一つ 触れあう手の境界
 僕らが失った熱
 埋めるように
 囁いて 囁いて 囁いて

 校舎の外の隅 座り込んで見た星空に
 届かないと知ったなら何を歌えばいい?

 夏の大空の熱が 通り過ぎていくよ
 まるでそこに何もなかったかのように 消えて

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あいしていると言えなくもないけど
それはチャイティーにたらしたミルクよりも不確かで
結局届くものは
ぼくのつたない思いでしかなく
これはむりょくだろうか
それともごうまんだろうか


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 LAKESIDE UNDER THE BLUE

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思い出を振り返るためには言葉が要るが
明日を刻むためには何も要らない
とどのつまり僕らは生物でしかなく
呼吸の必要性には抗えず
けれど僕は君と
昨日も明日も手に入れたいよ


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 必要で 必要で 必要で
 囁いて そこにいて
 必要で 必要で 必要で

 粉雪が   あの日の夏の鼓動を
 空から   ただ欲して
 舞って   届かないから
 触れ合う指先で
 そばにいて

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 それは愛になるの?
 それは愛になるの?
 それは愛になるの?

 それはいずれ 愛になるの?

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一匹の猫がやって来て
僕に愛の意味と
その矛盾と
無力さと
(もろ)さと
死と

絶望を教える

あい
あいし
あいして
そんなこと
得る物もなく
けれど僕はでも

あ い  し て   る


僕は君と命になりたいよ
昨日も明日も手に入れたいよ


二匹目の猫がやって来て
僕に死の意味を教える



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