花一匁(はないちもんめ)



言葉が不自由で
あれもだめこれもだめで
あっちむいてホイって
息もできない

好きに吠えることが
とっくに難しくなってる

誰それ彼それ
彼女それって書くたびに
誰かそこにいる気分
誰だかしんないけど
理想のひと

あめんぼが赤ければ蚊とんぼは青い
カバが呼吸するならクジラは動悸胸やけだ
馬が勃起するし僕も勃起する
男だったことを思いだす
やっぱ彼女それだったんかな
彼それでも別にいい
抱かれる側になってみるのも
だとするとやっぱり
誰それが正解ってことになるね
ばかばかしい
理想のひと
どこにもいないか
とっくに死んじまってるかだ
信じませんって
言ってるのに
しからずんば
死がずばずば
ああやっぱり
死んじまってるのが正解なんだな

言葉は自由すぎて
あれもありこれもありで
花一匁
息ができても

やっぱり
死んじまってるのが正解なんだろうか

がっかりしないな
あっちむいてホイって
やりすぎたな

あのこが欲しいって
手をつなげば言えるか
言えたとしても
つないだ相手が欲しいとは言えない

誰それ
僕はあなたと手をつなぎたがる
そばにいればいるほど
対面にいるひとしか欲することができなくても

不自由な言葉は
あなたとの距離を示すためにある

やっぱり死んじまってんだなって

確認するために

言葉は自由だ
きみはいくらでも蘇る
理想のひと

あのこじゃだめだ
このこが欲しいって
息をするため



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