When I Wish Upon Your Satellite -Please Be My Mistake-



いつまでもきみが
僕の間違いであってほしいと
願いをかけるよ
強すぎる光に(くら)んでしまわぬように
きみを巡る衛星に
そっと

朝を待つ不如帰(ほととぎす)の気持ちで
殺されもせず
活かされもせず
待たれてもいなくて
そんな曖昧で透明な膜の中
止まり木から足をずらせば
ずるりと抜け落ちてしまう
残されたわずかな気持ちをかき集めて
くすんだ鳥籠(とりかご)の中に巣を作る
これが道だよと示せない行き詰まりで
さもこれが(いびつ)なんですと
示して見せるような
ああ、しくじったさ
やがて朝が来れば
何もかもが(つまび)らかにされてしまうだろう
きみへの思いが暴かれてしまえば
頼りなく生きる瀬もなくす
そんな崩壊を僕はどこかで望んでいる
やがて暁光(ぎょうこう)を不如帰は見るだろう
鳥籠の中にしつらえられた巣で
羽を震わせることもせず
ああ、しくじったさ
何もかもが詳らかにされてしまう

いつまでもきみが
僕の間違いであってほしいと
願いをかけるよ
強すぎる光に眩んでしまわぬように
きみを巡る衛星に
そっと

安物の烏龍茶の方が口に合う
そんな乱雑な間違いを隠すように
冷蔵庫のドアを閉める
窓を開けて煙草を吸えば
少しばかりの寒さが
僕の意識を明瞭にする
それで浮かんだ言葉を繋げようとしても
きみがなかなか帰ってこないから
どうもこうもないさ
順番からしておかしいんだ
しくじったんだろうな
どんなふうに季節は進んでいくんだろうか

いつまでもきみが
僕の間違いであってほしいと
願いをかけるよ
強すぎる光に眩んでしまわぬように
きみを巡る衛星に
そっと

絡まった糸を解かずに
すんなりと放置して
景色が(めく)れるそばから
澱む(ほこり)(そそ)がない
それを間違いとだけ呼んで
遙かな天穹(てんきゅう)に息をしたい
苦しくても喘いでも
肺が朽ちても
たとえ欠けても
こんな(くず)
死ぬのは仕様がない
けれどまだ死んではいない
緩慢に息を連ねる
つまらない言い訳だとしても

いつまでもきみが
僕の間違いであってほしいんだよ
秋冷に惑えど
まだ思い出せるうちは
巣の中で羽をたたんで
息だけをしている
また夜がくれば
願いをかける
きみを巡る()
ああ、しくじったさ
何もかも詳らかにされてしまえ
どうせひとつふたつの崩壊では
この鳥籠は壊れやしないよ

まだきみが息をしているのなら
僕はその呼気に願いをかける
そっと

また間違いが重なるのならば
雪の降る夜がいい
せめてそんな願望くらいは

息をして
ひそやかに羽をたたんで



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