徒然lyric



叙情詩ですってぶん投げて
気持ちないしは痛みが
つれづれに駆け回る
奔放(ほんぽう)

感情なんてそんな美しいばかりじゃなく
小狡(こずる)くて醜い
とっくに見抜かれてる
でも平然とする
開き直ってる
そんなもんだろうと
全然
情緒からはかけ離れてる
でもつれづれ
もうちょっと
しんみりと
深く埋没してみようか

愛されたりない/愛したりない
曖昧な境界線の上でたたずみイルカのショーを見る
どちらだとてイルカは跳ねる
拍手が聞こえるが僕はついと視線を移す
狭いドーナツ型の水槽で
アザラシがぐるぐる泳ぎ続けている
これに相似を見るものかと
固く思えど気持ちはまばら
あてなく
ぐるぐると
ひたすらに
どこにもたどり着くことなく
これに相似を見るものかと
固く思えど気持ちはひらり
ペンギンがあくびをしている
やることがないみたいだった
今の5倍くらい愛されたくて
今の2.5倍くらい愛したい
そのぐらいが妥当な線だろう

深く

堤防の上から見える街の明かり
ひとつひとつの生活の命の願いと祈りと悲しみ
無窮(むきゅう)にも思える哀感と心地よさ
ぼくはこの景色が好きだ
生きていることを信じられるから
反対側には湖があり
無垢な夜陰を晒している
ぼくは吸い込まれそうになるんだ
いずれ帰るべき場所に似ている
生と死に挟まれることが
どれだけ幸福なことか
ぼくはこの場所が好きだ
失礼して煙草に火をつける
仄明(ほのあ)かりを漂わせて
ここに命がひとつばかりあることを
祈りとして捧げよう
おそらく
世界は明日も回るだろう!
ぼくがこの堤防からどちらを向くかに関わりなく

例えばぼくが
あの闇のように本当に無垢だったなら
あるいは真実になったかもしれない愛
ちょっと裏切られすぎたなんて言い訳
小狡さの常習でやめられないだけ
でもぼくは
どうしたってそっちなんだ
嘘っぱちのぼくが捧げる真実の愛と
本当のぼくが祈る小狡い願いと
結局どれもこれも言い訳だけれど
聖人君子ならば5倍愛されるのだろうか
嘘っぱちでいれば2.5倍愛せるのだろうか
ぼくの思考はいつだって利己的で
情緒からはやっぱりほど遠いね

気持ち
ないしは
痛みが
奔放に駆けていく

叙情詩だなんて呼べやしない
けれどいつだって
本当に届けたいのは
気持ちひとつだ

例えばあの時ぼくは
愛情と優しさと利己の狭間で揺れ動き
結局全部手に取った
欲張りのつけで
ちょっと派手な痛みが積まれた

例えばあの時ぼくは
愛情と忍耐と欲求の間を交錯して
結局全部捨ててしまった
無責任のせいで
やたら重い憂鬱が積まれた

不器用で
積み木崩しができないよ
加えて言うなら
このいびつなブロックのタワーを
崩したくないんだよ
どれだけ小狡くったって
好きな気持ちひとつは真実だったんだから
またどれだけ言い訳を繰り返すことになろうとも
ぼくはこのタワーを崩したくないんだ
みっともなくたって
座礁を続けながら
とってもハピネスだって叫ぶよ

叙情詩だなんてどうやって呼べようか
潮騒(しおさい)が聞こえる
ぼくは振り返る
あの時のぼくがいて
愛に対して負けまいとして口を引き結んでる
あの子のために
一晩中寝ないで
行くところがないから
中学校に不法侵入して
校庭から夜空を見ている
星彩が色めく



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