言葉



言葉だけ
言葉だけがあたしを許す

(つづ)るの
綴らなければ救われない
愛してる
君に届けたかった言葉がここで溶ける

全部 溶けて
まぜて
正体のわからないぐちゃぐちゃなものにする

書け 言葉を
書かなければ救われないわ
だから書くのよ 何でもいい
言葉なら 言葉ならば


言葉がふりつもる。あたしは狩りに出かける。1リットルの緑茶を持って言葉を狩りに行く。そこには紫色の原野があって死期を待つゾウガメがいる。ゾウガメは明日のことを考えない。あたしはそれをうっかり真正な美しさであると勘違いをする。バッカみたいなフラスコ入りのノイローゼ。そんなんは美しくも儚くも強くもないんだけれどどうしてかあたしは誤解する。あたしは1リットルの緑茶を飲みながら考える。この光景、詩にならないかしら。あたしはノックされ続けるボールペンの芯みたいになってゾウガメの詩を考える。僕はゾウガメ。もうすぐしぬ。けれどそれはくつがえしようがないじじつなのだ。そういうことがよのなかにはある。けれどたいせつなのはそこでとりみださないことだ。とりみだしたら何もかもを失ってしまうのだよ。そうそう。大事なことを忘れてた。「ポインセチアは危険だから近づくなよ!!!!」ああもうベリーバッド。まったくこんな詩はつまらない。あたしはふと考えてしまったゾウガメの詩を頭の中のゴミ箱に捨てる。そんでもう一度ゾウガメを見たらゾウガメはひっくり返っていた。まさかあたしの溢れる才能に驚愕して逆さになったわけじゃあるまい。死んだんだろう。
結局あたしは何も手にできないまますごすごと帰ることになるのだ。

結局あたしのそばには言葉しか落ちていなくて
それも上等なやつじゃない
どう考えてもクズな塩基配列しか持たない言葉のごみしかなくて
人類のごみであるところのあたしはそれをひっつけたりちぎったり組み替えたりするのだけれど

ああもう、あたしったら、なんたるごみ!!!!!

部屋を片づけられないのは彼氏がいないからよ!
なんで彼氏がいないかって、簡単
彼氏が言葉ではないからだわ!
人間は言葉にはなれない
あたしには言葉しかない

ああもう、あたしったら、なんたるごみ!!!!!!!

あたしだって君がいたころは
せめてその言葉を届けようとしていたけれど
今となっては君がどこにもいなくなったもんだから
もうなんの意味もないの!
だって彼氏がいないし!
あたしには言葉しか残らなくなったのよ


言葉だけ 言葉だけがあたしを裁く
ひとり残ったあたしを裁く

あたしは自分を殺す言葉を探しに行く
まるで初恋のよう

だっていつまでも少女でいたいのだもの

でもひとつだけ言っておく

「ポインセチアは危険だから近づくなよ!!!!」


ああもう、あたしったら、なんたるごみ!!!!!!!!!!



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