Lullaby Song



ララバイ・ララバイ・グッドバイ
Lullaby Songで遊ぼうよ
サヨナラで息をしようよ
決して哀しみじゃない
僕らなりのやり方で
一瞬だけの繋がりを
全てだと思い込もうよ
ララバイ
Lullaby Songをリクエストするよ
年賀状の余りの葉書(はがき)
電子の網を無視して
僕らの繋がりを否定して
決して哀しみじゃない
彩りを愛と呼んでもいいかな
些々(ささ)たる言葉を交わして
意味を持たずに
僕ら別の道を往こう
Lullaby Songが風に乗るよ
どうしても泣きたけりゃ
そっと口遊(くちずさ)めば
祈りくらいには足りるだろう
涙が零れても
少しは見られたものになるだろう
そもそも気にする必要はないんだ
僕だって
どうしてかさっきから
左眼だけ
涙が止まらないんだよ

ララバイ・ララバイ・フェアウェル
Lullaby Songの音符が跳ねれば
決して哀しみじゃなく
前に進めるさ
予定調和の切実さで
きみの隙間を傷で埋めよう
僕らの祈りが形を成すことは
おそらく未来永劫ないだろう
哀しい顔をしないでおくれ
僕らはいつだってスタートできるのさ
今すぐ
昨日からだって
10年前からだってスタートできるよ
予期される離別の痛みに
Lullaby Songを捧げて
作り笑いで
何だってかまわないさ
僕らは罪を犯しすぎて
この先
ろくな目には遭わないだろう
それでも
Lullaby Songに火を(とも)して
僕らが今まさにここにいることを
確かめて
流れ星を探して
祈りが現世(うつしよ)に転がることもあるって
勘違いに溺れて
騙されることを確信しながら
信じてみて
さあ
僕らは別れよう!
Lullaby Songが遠くなり
墓標みたいに転がっている石ころを蹴飛ばす
それは誰かの夢の名残で
そうさ今ごろ
10年前の路傍(ろぼう)では
僕の石が蹴られているよ
おそらく
きみが落としたビー玉も
Lullaby Songに祈りを懸けて
サヨナラで息をしようよ
決して哀しみじゃない
僕らなりのやり方で
一瞬だけの繋がりを
全てだと思い込もうよ

Lullaby Songに針を落として
夜会に身を任せて
紫煙を漂わせて
すっかりやられちまったなあと思いながら
きみの仕様もない未来を祝福する
すっかりやられちまったさ
これで最後にしてくれよ
決して哀しみではなく
ありふれたリズムで
どこかずれた抑揚で
言ってみて
すっかりやられちまったってさ

ララバイ・ララバイ・グッドバイ
十年前の日記に記す
“路傍の石を蹴った”と
スタートできるよ
そうでなけりゃ
まさにこの時はどうかしてる
Lullaby Songに満たされた
僕らの希求の(ふち)
泣訴(きゅうそ)をしばらく追いやって
アールグレイ
きみが紅茶を淹れてくれれば
僕はもう他に何も要らないさ
だから僕はインスタントコーヒーを飲むよ
不味くて仕様がない
泣いちまって仕方ないけど
決して哀しみじゃなく
いつからでも始められる
もう誰もいない平野に
Lullaby Songだけが息づいている
始まってしまえば戻れないさ



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