賛歌 |
言葉を解き放って踊らせよう 私たちの生存を確かめるために ささやかな賛歌を巡らせよう 私たちは自分が生きていることをいつでも知りたがる 突出した熊がバリケードを背にうららかに叫ぶ 「これ以上 負けてなるものかと、私は 「これ以上私の 愚者であろうと目論んだ隠者が 飛び跳ねるピンクのパンダの上で ファッションショウが始まっていて 傑出した熊は苦々しく 「人間はそうそう簡単には死にません」 私はハイハットを調整するような手つきで波を待っていた 熊はカーマインを舐めて喉を痛めてから続ける 「けれど、殺すことは簡単です」 発出した熊は全然だめで、 あまりにも逆上がりがうまいのでそこにいるのだった 私は長年の放浪生活がたたって、逆上がりどころか 鉄棒を掴むことのコツさえ忘れていたのだ 目頭から亜鉛が零れて囁く 命ですか? 命ですか? それは、命ですか? だったら何がどうだと言うのだろう そんなに賛美するに値するものなのか 世界に70億個もあるごくごくありふれたものに どれだけの価値があると思っているのか YES、あなたは世界にひとりしかいない NO、命は ああ、まるで夜中に見るデイドリーム だってそれが日常を生きるということなのだから 抜け道も裏技もたくさんあるけど やはり私にはあの熊が誰よりも正しく生きているように思う ファッションショウはたけなわ 出番を終えたパンダがやって来て言うことには 結局、芋虫の上で軽やかに飛び跳ねて潰しながら 悲しいふりをして愛の歌を歌っているのがきみたち人間 要するに だいきらいとだいすきの中に隠れている 無知 何よりも美しい 芋虫を踏みつぶしながら高らかに叫べ! 私たちは確かにここにいて! 消せない想いを抱いているのだと! それこそが、 芋虫を踏みつぶしながら高らかに叫べ! 解き放たれた言葉たち ただひたすらに まるで不協和音のように まるで運命のように Unchained Melody これが真実なんだと声高らかに やあこんにちわと灰猫が挨拶をして 生の意義と死の価値を問いかけて去る 私は後ろ姿に叫ぶ 私は銀河が胸に墜ちてくるのを味わってしまったのです! 芋虫も蝉の幼虫も踏みつけてご覧にいれましょう! それが生だと言うのなら! なれば私の死には価値が生まれる! 芋虫も蝉ももはや脅えることはなく! 全てが調和と至福と混迷に侵されることでしょう! スケルツォがためらって傷がしゃべり出す 花びらが支度して ミクロとマクロが並んでカバに遅々と背徳を急かす 至極まるっきり 芋虫も蝉の幼虫も踏みつけてご覧にいれましょう! それが生だと言うのなら! 死を担う重さに耐えかねて誰もいなくなった門で ピンクのパンダがはねる 猛犬注意のステッカーなんてものはない 慰藉されて渾然となりピンクの色を変える亜鉛になる 私の死には価値が生まれる! 芋虫も蝉ももはや脅えることはなく! 全てが調和と至福と混迷に侵されることでしょう! ピンクのパンダがはねる 猛犬注意のステッカーなんてものはない 慰藉されて渾然となりピンクの色を変える亜鉛になる 私は列車を待っている 虫けらと敗者と愚者を踏みつけるために それは私が強いからではない 弱いからだ |