ピアノリフレイン



ピアノが繰り返す
変わりゆくメロディ
雑踏の中で
不思議な魔法のように
繰り返す
君と僕がかつて触れ合わせた肌の間で
木々のさざめきとともに
変わらないメロディ
繰り返す
雑踏の中で

ララララララ

置き忘れたものが
果たして本当に要るものだったかなんて
旋律の中に紛れてしまい
足早に
音階の流れに乗って
僕は駅のホームに向かう
君のいる街とは反対側に向かう路線に乗り
木漏れ日を懐古する
置き忘れたものは載せずに
過ぎゆく()を眺める
同乗した人達の相似(そうじ)
全く僕にとって
微熱であると思う
つまるかつまらないかの問題ではなく
キーのひとつとしてあって
置き忘れたもののこと
一瞬忘れて

ララララララ

ピアノは繰り返す
変わりゆくメロディ
君にとっての僕
真実と嘘がないまぜで
過ぎゆく灯の下にある幸せと不幸せ
そんなもののように
僕は君にとってのピアノ

鳴らそう
繰り返すメロディ
響こう
変わりゆくメロディ

ラララララララララ

リフレインする
雑踏の中
電車を降りて足早に
人の群に溶け込む
繰り返して変わりゆく
ちかちかした光に見えなくなっていく僕
君の住む街からは離れた駅で降りた
明るいマイナーコード

君も雑多な街の中で
そこから見える数少ない星の下で

繰り返す
人波に紛れて見えなくなっていく



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