Soundtrack for This Lake



01 A Little Piece

曇った視界をメガネ拭きでどうにかして
君の閃影(せんえい)を見ようとする
小さなかけらでもいい
君がここにいたという
ささやかな証明が欲しい
閃光ばかりでまぶしくて
君はどこにいたのだろうか


02 鮮紅(せんこう)に揺らぐパヴァーヌ

切り取った地図には赤い染みがあった
誰かが流した血なのかもしれなかった
それでも前に進むしかなく
どれだけ危険を冒しても
そんなものは言い訳で
ただ戻るすべを持たないだけ
二拍子で
滑稽な舞い
ただ戻るすべを持たないだけ


03 レイクサイド

ここから見える景色のどこにも永遠はない
けれど錯覚を覚えるのは
あの時この場所で
きみが微笑んでいたからだ
湖から吹き付ける寒風に髪を揺らし
仄暗(ほのぐら)い空の下で
微笑んでいたから
そしてそれを
僕が昨日のことのように思い出すから


04 シザーズ・フリーク

さあ切り取ろう!
僕らの思いのひとかけら
たとえ痛みをともなっても
さあ切り取ろう!
僕らの哀切のデイバイデイ
たとえ痛みをともなっても!


05 マスカットティーの適度な温度

思いとて冷えすぎるとろくなことはない
かといってホットはだめだ
僕は猫舌だし
そもそもホットはだめだ
痛くて飲めたものじゃない
常温がいいと思うんだ
初夏の常温
ぬるくて
結局意味ないな
泣けやしないよ


06 ヒカリ、その表裏(ひょうり)

白と黒かで決着がつくなら
オセロよろしく
美しく終われたろうさ
たとえどちらに染まっても
仄明(ほのあ)かりと仄暗さが入り交じって
まったくもって混迷
零れる涙だけがずっと変わらない
無色透明


07 アカツキのウソツキ

暁光(ぎょうこう)
救いではなく
苦しみの再開の合図になることもある
空は思った以上に嘘つきだ
昼と夜が繰り返され
安寧と痛苦(つうく)は繰り返される
無限にも思える単調さで


09 夢想する三毛猫(みけねこ)のためのピアノコンチェルト

空想する世界で
空を飛ぶのに
何の道具も要らないように
愛されるのにも
何の理由も必要としない
そこにいればいい
ただ存在することが
一番難しいのだけれど
これは空想でも現実でも同じ
オールライト!


10 レイクサイド・リフレイン

少し何かをずらしたなら
もうすぐそこに君がいる気がするんだけど
この湖には君との思い出しかない
他のこともあったけどそれは全部忘れた
余計な荷物は捨てて
初夏の生ぬるさが頬をなでて
全然冷たくないよ
きみが微笑む温度じゃないよ
凍えたいよ
生ぬるさの中で
全てを曖昧にしたまま
僕らは進む
愚かな愚かな二拍子
舞うことしかできないならば
それは呪いで
舞うことができるならば
それは祝福
ふとした拍子に
きらめきが目にとまる
閃影だったのか
閃光だったのか
判然とせず
曖昧なまま
赤い染みのある地図を見て
舞うことをやめない
ただ戻るすべを持たないだけ


11 A Little Peace

三毛猫が跳ねて
閉じられていた本がめくられた
カーテンが揺れ
湖畔の光が差し込み
なんでもない1ページが照らされる
たわいない祈り
僕はずっと
君を探していた



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