希望のアンダンテ



希望を唄おうって
ちょっと思ってみたりもしたけれど
相変わらず僕は()()ぎのカカシだから
迷子
人を信じすぎるきらいがありつつ
失望には臆病で
サヨナラの回数ばかり数えていて
不器用
何の言い訳にもならないから進んでみるとして
けれど僕は僕に対して詩情を預けられないから
結局のところ言い訳の逃げ口上だけれど
きみのとっての希望を唄ってみようかなって
ただそれだけのこと
隣り合うことはできないとしても
何が僕らを阻んだとしても
きみに向けたアンダンテ

冬の陽光が差し込めば
死にたいと思いもする
夜に凍てつきを覚えれば
来月くらいまでは粘ろうかという気にもなる
夕暮れに咳をして
暁を背負うきみの傷に触れたい
例えばだけれど
そんな程度のアンダンテ

さあ、いつまで経っても一度きり
封切りにしてラストショー!
僕らのつつましい希望はポケットの中に
いくら叩いても増えないけれど
見つけるのはごく簡単
だってきみとのアンダンテ
起死回生とはいかないし
終わりへの恐怖を消してもくれない
ああなんて無力!
けれどショーに添えるささやかな花に
詩情を託そう
たったそれだけでいい
それで精一杯の希望の唄
さあ、アンダンテ!

言葉ってやつがどれだけちっぽけで無力だとしても
僕らは僕らのhoneymoonを過ごせればそれでいい
もともとたいした悩みじゃないや
ちょっと生きることに疲れただけ
ちょっとばかり絶望してしまっただけ
そんなもの
叩いても増えない希望でだって取り返せる

何も起きない冬の午後
天気は快晴
瞬く間に光が押し寄せて
ふっと死にたくなりながらも
僕は苦笑いをして
希望を唄うよ



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