From K



きみが(とも)す言葉の星明かりに
すっかり眩耀(げんよう)されてしまって
息をつく暇もない
どっちにしろこれは生きるしかないなと
開き直るばかり
むやみにハードルを上げないでくれよ
ただ生き延びるだけじゃ
すっかり物足りなくなってしまう
どうぞ僕を騙し抜いて欲しい
(あざむ)き続けて
取り返しがつかなくなって
明日を夢見てしまうまで
言葉を放って
届けて
魂の流通経路をここに確保して
撃ち抜いて
From K

ひとしずくの細波(さざなみ)
周波数をどれだけ合わせても
どこかで流星が降らない限りは
何も聞こえてはこないけど
その祈りは届いてる
とんでもないフラクタルのあどけない世界で
こっちの切望に触れられる?
罪滅(つみほろ)ぼしの呼吸をしながら
太陽の(ごみ)を蹴り飛ばす
ひとしずくの流星に変えて
たまに声が聞こえることを
少しだけ祈ってみる
Dear K

ちりばめた記憶を撫でて
ふっと通り過ぎていく
それだけの切なさに捧ぐよ
忘れてしまいたい全てのことと
なくしたくない全ての思いを
分けられぬまま
細波に(いだ)かれる
季節は冬に向かうころ
聞こえないはずの波音は空気に溶けて
張りつめた夜に消えていく
祈りが
祈りとして
その温もりのままに
解き放てば
すっかりやられちまってる
夜景に夢が巡るよ
ひと呼吸して

きみが灯す言葉の星明かりに
すっかり眩耀されてしまって
息をつく暇もない
どうしたって
往く道を照らすさ
(たわむ)れる細波
一夜の意義にさえ惑う僕を
撃ち抜いて
From K

たくさんのさよならを見送って
ずっと遠くから歩いてきたこと
ひとしずくの(まにま)に漂いながら
絶え間なく祝福して
前途に迷いながらも
空を見上げる
使い捨てライターの明るさじゃ
どうしたって申し訳ないけど
せめて火を灯してよ
Dear K



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