塵芥(ちりあくた)塵芥(じんかい)と血小板



 書くことを目的にして書くことをする。三時と暫時を間違える。ねえゆっくりと溶けていけば、忘れてしまうよ。頭の中で飼っている虫を()けて。息を止められる時間はせいぜい。塵芥(ちりあくた)塵芥(じんかい)と血小板。汚して乾いて。何かが光るわけじゃないから。深海で光ればこそ意味のあろうものを。ただ困るばかり! 望んで。望んでよ。書くことを目的にして書くことを望んでよ! 時間はどんと座って動かないで減っているよ。そういう場所だから! 地図は明らかにlostして。二本の煙草に火をつけて。呼吸の仕方を忘れては繰り返し思い出して。重力はここにあるから、あとはきみが羽根をたたむだけだよ。鳴りやまないことは忘れないで、ねえ。重力はここにあるから。

 石鹸とハンドソープが溶け合えないでいるように、(あそ)び、(すさ)び、僕ら似たものなのに、粘稠(ねんちゅう)に甘えるだけ。どこにも行かなければどこにも死なない。ならば僕に落ちて死んで。

 風に惑わされているだけ。煽ち風ばかりの狭い居場所で。籠城は些か苦しい。風雨にさらされる。もう一度と願っている。海に飛び込むことができたなら。岩礁をすり抜けて、また海に飛び込むことができたなら。

 絶望なんてもう慣れたよね。そんな名前をつけるのも仰々しいよね。塵芥(ちりあくた)塵芥(じんかい)と血小板。かつてここにあった真実に夢をかいま見るだけで今は生きられないけど、どこにも行かなければどこにも死なないのなら、僕に落ちて死んでよ。

 命のふりをしている。
 また明日も命のふりをする。



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