コロナレイン



散乱光(コロナ)の雨が降る
痛みが降り注ぐ
光が燦めいては消えていく
僕らの生きる物語の大切な1ページ

出会いと別れなんて陳腐な言葉に彩られ
ページが捲られていく
二進(にっち)三進(さっち)もいかないはずの道程が
気づいたら先に進んでいる
そうして
君に出会った

散乱光(コロナ)の雪が積もる
喜びのようでいて哀しい
雪融けをのんびりと待つはずが
ページの向こうに連れ去られてしまう

1枚捲り
もう1枚捲り
どうにもこうにもなりゃしない
流れに棹を差そうにも
早くもならず遅くもならず
美点はひとつ
君と足並みがそろう事
欠点はふたつ
君に追いつけない事
君が追いつくのを待てない事

散乱光(コロナ)の雷が鳴く
至誠と迷いの轟き
結局黒でも白でも灰色でもなくて
過ぎゆく日々だけが象牙色

散乱光(コロナ)の雨が降る
痛みの出所も喜びの出所も
きみで
交差する万年筆の曲線
そのまま離れていくのか
遺伝子のように絡み合うのか
あるいは同じ回転を繰り返すのか
君と僕の散乱光(コロナ)
捲られていくページに沿っていく
違うページで終わるだろうけど
今は同じ洋燈に照らされている

そんな隣同士も悪くはないよね

陽が優しく包む
まるでこの世界に不幸など何もないかのように
いずれ夕暮れになり
カラスが鳴く

散乱光(コロナ)の雨の中で
傘も差さずに
君と連れ添って歩く
僕らの生きる物語の大切な1ページ



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