スモーキング・ブルー



吸って吐き出す煙草の煙が
どうしようもなく蒼い時なんてある
それもけっこうざらにある

そんな時僕は自室にこもって煙草を吸い続けてしまうので
誰も部屋には立ち入れない
一時間もいれば立派な薫製になってしまうからだ

薫製と化した僕はひとり部屋で動かない
そして考えをめぐらす
哲学から政治へ 経済から自然科学へ
煙草で喉が渇いても薫製の僕はそれを満たす術がないので
どうにも乾いて泣きたくなってしまう
それでも考えは止まらない

ゆっくりと
静かな
弦楽
四重奏
蒼い霧の中

僕はただひとりの指揮者で
演奏者で
そして観客だ

遠くへ 願い 日差しを隠し 自らも

動き出した脳は止まらなくて
それでも陽は沈んでしまって
今日の陽を僕は見ることなく

明日寝て起きたら空を見上げてみようかなんて
叫ぶでもなく、思うのだ

しかしどうにも、あのまぶしさだけはどうにかしてほしいというのが、
僕の切なる願いだ



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