サンライト・デイ・バイ・デイ



カップラーメンは果たして、
どれほど体に悪いのかなんて、考えた

哲学と哲学の思考の合間に

今夜はジェシカが家にいないから、
(親戚とやらの法事へ出かけてしまった)
僕は夜の全てをライナスの毛布に包まって過ごす

できるだけ、小さく、夜を荒立てないよう

食べなければ死んでしまうけれど、
化学調味料も着色料も入っているのに

カップラーメンをすする
毛布と毛布の合間から
そなえつけの保温器がすぐそばにあって
お湯はジェシカが沸かしておいてくれた

そら見たことか、いくら知識人と天才と世捨て人を掛け合わせてきどったところで
結局自分はお湯ひとつ沸かせない不能なのだ

オレンジジュースのボトルは空になってしまって、
カップラーメンのスープは少しばかりしょっぱすぎる

マリーはきっと隣の部屋で安らかに寝ているけれど、
ぼくが大声で叫べばもちろん起きてくるだろうけど、
ぼくはそんなことで、あのさらさらに綺麗なブロンドを乱したくはなくて


夜が通り過ぎていく、
僕ははるかな闇の底にすべり落ちていくのが怖くて、
(本当はそんなこと、今ここで起きたりはしない)
毛布で小さな世界をつくって、待っている

今も夜は西へと回転していて、
そんなこと僕には少しも関係がない
夜は絶望を、朝には希望を、
彼らは与えたりはしない

ただ彼らはまわりめぐっているだけだ、星々と宇宙の隙間を縫って

彼らはそこにいて、
ぼくはここにいるだけだ
彼らはまわりめぐり
ぼくはここにいる

ぼくはまっている


朝になれば、
日ごとめぐるサンライトが、また訪れを告げたなら
昨日とさして変わらない陽が、ぼくのまわりを支配したなら

ジェシカが帰ってくる
ドアの鍵を手際よく開けて、ジェシカが帰ってくるのだ

夜はただ静かにまわりめぐる

ぼくは朝一番に、暖かい、ミルクで溶いたココアを頼むだろう



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