チューリップ



世界は僕にとって広すぎる
草原に横たわりながら、僕はそう考える

マリーが兎とたわむれているあの花畑も世界
僕が見つめるこの蒼天も世界
ジェシカが夕御飯を作りながら待っている僕の家も世界

どれぐらい広いのかって、
少なくとも両手の指で数えきれないことだけは確かだ

ぼくはつい
広がる空の下
世界をつなぐ空の下で
横たわりながらまどろんでしまう

本当はマリーの面倒を見なければいけないのだけれど

つながる空の下
ここで眠れば
南極のペンギンの夢が見れるだろうか
サバンナのシマウマの夢が見れるだろうか

まどろみながら
宇宙をまわりめぐる地球に揺られて
世界のゴンドラに揺られて

僕はやっぱり思う
世界なんて
僕にとっては広すぎる

だから

帰りしな
家に飾ろうとマリーが摘んできたチューリップ
僕にはこのくらいでちょうどいい

この花と
彼女の笑顔を


世界と、呼ぶんだ



BACK                                              TOP