夏のミミズ



舗装された道を歩きながら
干からびたミミズのようになって
くだらないことを考える

僕が居るはずの教室は暑く
彼らが自由を手にするまでには
まだいくらかの時間が要る

僕は自由を謳歌しながら
カラカラのミミズのような生を
一身に受けとめる

通りを迂回して
きみが住んでいた街角に出る
起きもしない奇跡の代金は要らない

灼熱の午後は僕に向かって
《もっと生きろ》と言うけれど
結局僕はミミズでしかない

干からびたミミズのようになって
夏が要らないフリをして
おもむろにミネラルウォーターをぐいとひと飲み

つまんねえ妄想をやめて
地中に潜ることもできない
ゴミみてえなミミズ

夏は勤勉だ
僕が足どりを止めたところで
空は揺るがない
だから歩き続けるわけじゃないけど

照らされるばかりで
潤いのないミミズになっちまう

夏に焦がされるばかりで
行く宛てを知らない
舗装された道で僕の生が灼かれる



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