蛙 |
酸素欠乏気味の蛙が話しかけてきた。 僕は相手なんかしたくなかった。 けれどこの喫煙室には僕と蛙しかいない。 罪をなすりつけられる相手はどこにもいない。 穢れたままの僕。 蛙は頭がおかしい。 酸素が足りないからだ。 いつも蛙は酸素ボンベを背に歩いているが、効果のほどはしれない。 蛙の言うことはいつも矛盾している。 まるで蛙の存在そのものをあらわすかのようだ。 蛙は死んでいる。 しんでいるし、いきている。 まるでカラカラの干物だ。 美味しくないだろうに。 それでも蛙は確かにここにいる。 僕の目の前に、確かにいる。 今度、線香を買ってこようと思った。 蛙の為に焚いてやろう。 |