言葉を失った詩人なら
死ぬ必要もないだろう
のうのうと生きている
生きていける

僕らの騒がしい日々は本当のところ全て終わってしまった
主題を語り尽くし
ひたすらに続く後日談
２時間の映画なら最後の５分ですむようなことを
飽きることなく繰り返している
これが意外と楽しいんだ
僕らの騒動は終わってしまって
あの子も自分を切らなくなって
あいつはいまだに悪さをしていて
馬鹿らしいまでに終わらないだけの物語
僕らの騒動は終わってしまって
今は現実に生きている

２時間の映画なら５分ですむようなことを
ひたすら繰り返している

テーマもなく
メッセージもなく
祈りも、救いもなく

言葉を重ねた
僕らにとって全てだった騒動の中で重ねたそれは
一冊の詩集にくらい
なったかもしれないが
でも
言葉を失った詩人なら

はるか昔の物語
昔々ではじまって
めでたくは終わらずに

実のところまだ続いているんだ

語るべき物語はなくなって
僕らはのうのうと生きている
めでたしじゃねえよまだしばらく生きるんだから

言葉を失った詩人なら

中途半端に
未消化で
揺らぎながら

言うべき言葉を失って

詩集は完成しなくても

好きな言葉を連ね
喘いで

息をするように
真実が終わっても