この高い場所から



ちょっと高いところに登っただけで
視点が変わったりして
風が吹いたりして
世界が馬鹿みたいに平和に見えたりして
錯覚じゃなく、それが真実であるかのようにさえ思えたりして

おいジズ
あんたの葬式は富士山のてっぺんでやってやろうか
お気に召すかい?

馬鹿みたいだなあ
何もかんも馬鹿みたいだ

こんな日は考えるのがおっくうになって
ささやかな抵抗として煙草を吸って
意識を明瞭にと、小細工してみるけど
その煙草の煙でさえ、高くまで昇っていっちまうんだから

何であれ
何でさえ
馬鹿みたいだなあ

なぁアキ
くそ真面目にレポートなんて書いてないで
こっちに来ないかい?
あれ?大学休学したんだっけ?


ああ
何もかんも
馬鹿みたい

ひょっとして
僕が信じてる楽しみや
希望や
夢や
愛なんて

ひとかけらもこれっぽっちも全く
意味のないものなんじゃないかなあ

だとしたら
僕の抱えているこの痛みも
きっと


空を見上げて



さあ
飛び降りよう
この高い場所から



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