痛み



痛みを痛みとして覚えていた
あの頃の
強さはもうなくて
傷に振り回されてばかり
優しくなりたいってだけ思う
そんな今日
思ってみても
軟弱な意志ばかり降りてきて
そんなん優しさじゃないよって
それだけ
勘違いしてみたって
幸せにはなれないね
強くなくてもういいよ
かっこよくなくてもういいよ
寂しいのは嫌だけど
それはそれでもういいよ
痛みを痛みとして
ただ感じていられるのなら
どんなにかいいだろうって
不意に思うのはそんなこと
今や望むべくもないこと
あの日の電話
まだ覚えてる
取れなかったね
痛かったよ
とても痛かったよ

今僕にあるものは走馬燈
それだけの武器で
痛みを取り戻しに行く
涙の意味はなんだっけ
別れの意義はなんだっけ
祈りの意図はなんだっけな
どうしてかな
涙はこぼれそうなのに
ちっとも痛くないんだよ

きれいな丸で
なめらかに滑りたいんじゃなく
角張ったホイールで
とんでもない摩擦係数で
引きずるようにして
洒落にならない効率の悪さで
悲鳴をあげながら
進んでいきたいと

それが
全てに対しての償いで
全てに対しての感謝で
全てを受け止めることで
全てを受け渡すことで

それが
きみに対しての僕で

それを優しさと呼ばないのなら
過ちでもいい



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