37.9℃の発熱 |
どうしても熱に浮かされてしまって望むような文が書けないので どんな退廃さを描き出そうとしても軽薄になってしまうのなら 最初から最後まで軽薄そのものであればいいと そう思って 糸を探した 冷たい烏龍茶が飲みたい 熱が下がらない どうにも幸せが過ぎる傾向で でも満たされてはいなくて 結局のところ 低俗な生物にただなりたいと それだけを願う 美しい美学なんて要らない 十中八九九分九厘明日はやって来る そんな満たされて浮ついた憩い 君は隣にいない ただ低俗になりたくて 糸を垂らした 恐怖に芯が動かなくなる 呪いのようでいて誰のせいでもない ありきたりで不遜な小心 出口を探すのが下手なだけ お気に入りのテキストエディタをずっと探してる メールが一通届いて欲しい 垂らした糸なんか燃やしてしまって それに縋りついていたい 1月23日 日付が変わってほどなくのところ 37.9℃の発熱 喉に炎症有り どこにもロマンスのないただの風邪 恋わずらいのひとつやふたつ ほしいところ どんな退廃さ崇高さも今は紡ぎ出せないのなら ひたすら軽薄でいたい それこそが正解であるような気もしている ただ低俗な生き物でいたい 触れ合うことで愚かになりたい だから糸を選んだ 色と太さと繊維を念入りと言うほどではないけれどそれなりに選んだ お気に入りのテキストエディタはどこにもないけど それでも垂らした糸を引き上げたら くだらないリアリティがそこにあったりしないだろうか ただの生き物でしかないことを 思い知りたいだけ 1月23日 日付が変わってほどなくのところ 37.9℃の発熱 喉に炎症有り なんとなくかけているポップス 気分に合う曲が見当たらないから 本当は声が聞きたいけど 糸を垂らすばかり すでに十分愚かしいけど まだ何の間違いも犯してはいない 今はもっと過ちに触れたい どうせなら熱も上がってしまえ |